鳴く虫は、見た目がにていても、ごはん、たまごを産む場所、冬の過ごし方が同じではありません。まずは飼いたい種類の行を表で見つけましょう。
秋に鳴いているおとなの虫を飼うだけで終わるのか、たまごを春まで守るのかで、用意するものも毎日の世話も変わります。この記事では、表を使って、そのちがいを順にたしかめます。
どの種類を飼うか決める
種類別データ表では、はじめに「おとなのごはん」「たまごを産む場所」「たまごが生まれるまで」を見てください。野菜や草の葉が中心の種類もいれば、生きたエサが必要になる種類もいます。たまごを土に産むか、わらの中に産むかも大切です。
つぎに、おとなの虫が冬をこすかどうかをたしかめます。この表の種類では、おとなの虫ではなく、たまごが冬をこします。秋におとなの虫がいなくなることは、世話が悪かったとはかぎりません。寿命による自然な一生の終わりで、来年につなげる世話は、残ったたまごを守ることです。
記事によっては、成虫と幼虫をくらべる表が出ることもあります。その場合は、同じ種類でも、成虫と幼虫は実質べつの生き物として見ます。ちょうどよい温度、ごはん、世話のしかたが変わるからです。「この姿でいる期間」を見くらべると、一生の大半を幼虫の姿で過ごし、成虫の時期は短いことが分かります。成虫を飼うつもりでも、その先は幼虫の世話が中心になる場合があります。
| 種類 | おとなのごはん | たまごを産む場所 | たまごが生まれるまで | 土(マット)の深さ | 大きさ | おとなの虫でいる期間 | 育てやすさ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| スズムシ | 野菜と、虫用のえさ | 土の中 | つぎの春に生まれる | 3〜5cm | 17〜25mm | 1〜2ヶ月 | やさしい |
| マツムシ | 草の葉と、虫用のえさ | 草のくきや、わらの中 | つぎの春に生まれる | 3cm | 18〜38mm | 未確認 | 未確認 |
| キリギリス | 野菜と、生きたエサ | 土の中 | つぎの春ではなく、そのつぎの春になることがある | 8〜10cm | 38〜57mm | 未確認 | むずかしい |
| クツワムシ | 草の葉と、虫用のえさ | 土の中 | つぎの春ではなく、そのつぎの春になることがある | 7〜8cm | 50〜53mm | 未確認 | むずかしい |
一年のお世話カレンダー
カレンダーは、今いる虫の姿から読むのではなく、どの姿で冬をこすかを考えて読みます。冬をこす種類なら、その姿を乱さずに守る時期があります。冬をこさない種類では、おとなの虫がいる時期と、たまごを待つ時期を分けて考えます。
この表では、秋のおとなの虫の世話が終わったあとも、たまごの世話が続きます。土に産む種類と、わらに産む種類では、春先にしめらせる場所がちがいます。自分の種類の産む場所を種類別データ表で確かめてから、カレンダーの同じ行を読んでください。
たまごが生まれる時期には幅があります。すぐに生まれないたまごがあっても、決めつけて捨てず、表にある世話を続けます。
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 1月 | たまご(冬ごし中) | そのまま静かに置いておく。この時期のたまごは乾きに強いので、霧吹きはほとんどいらない。 | こおる場所はさける。たまごの入ったものはかき混ぜない。表の「たまごを産む場所」の行で、どこに入っているかを確かめる。 |
| 2月 | たまご | ひきつづき、そっとしておく。 | 暖かい部屋に移すと早く生まれすぎて、えさの用意が間に合わないことがある。 |
| 3月 | たまご(生まれる準備・土に産む種類) | 毎日、霧吹きで土をしっかりしめらせる。表面だけでなく中まで水が届くようにたっぷりかける。 | この時期の乾きは、たまごにとっていちばん危ない。ただし水を入れすぎると、たまごが息をできなくなることもある。 |
| 3月 | たまご(生まれる準備・わらに産む種類) | 毎日、たまごの入ったわらの束に霧吹きをする。束をおおったコケごとしめらせる。 | たまごは土ではなく、わらの中に入っている。この時期の乾きが、たまごにとっていちばん危ない。 |
| 4月 | たまご(土に産む種類) | ひきつづき土を乾かさない。生まれたあとにあげる、粉のえさを用意しておく。 | 土の表面だけをぬらしても、中までは届きにくい。 |
| 4月 | たまご(わらに産む種類) | おおいを外して、わらの束を土に立て直す。生まれたあとにあげる、粉のえさを用意しておく。 | 束をねかせたままだと、生まれた虫が出てきにくい。桜がさくころが立て直す目やす。 |
| 5月 | たまご〜生まれたばかりの虫(ひと冬でかえる種類) | 小さい虫が見えはじめたら、粉のえさと、表の「おとなのごはん」の行のものをあげはじめる。生まれる時期は気温で前後する。 | けずりぶしや煮干しはかたく、小さいうちは食べられないことがある。粉のタイプにする。 |
| 5月 | たまご(もうひと冬ねむる種類) | 生まれてくるのは、去年の秋に産んだたまごとはかぎらない。おととしの秋に産んだたまごが生まれることもある。小さい虫が見えはじめたら、粉のえさと、表の「おとなのごはん」の行のものをあげはじめる。 | この春に生まれなかったたまごも捨てず、乾かさない世話をそのまま続ける。どのたまごがいつ生まれるかは決められないので、いつ生まれてもよいように待つ。上の「たまごは、ひと冬でかえらないことがある」も読む。 |
| 6月 | 小さい虫(脱皮をくりかえす) | 生まれた虫がいたら、脱皮の足場になるうすい板や木の切れはしを、土に立てて入れる。 | 数が多いまま育てると共食いが増えやすい。入れものを分ける。 |
| 7月 | 大きくなってきた虫 | 育っている虫がいたら、入れものが狭くなる前に分ける。えさと水を切らさない。 | 動物質のえさが足りないと、なかまを食べてしまうことがある。 |
| 8月 | おとなの虫(鳴きはじめる) | 表の「おとなのごはん」の行のものと、虫用のえさをあげる。かくれ家と止まり木を入れる。 | 暑さに弱い種類がいる。表の「夏に冷やす道具」の行を見てから置き場所を決める。 |
| 9月 | おとなの虫(いちばんよく鳴く時期) | えさを切らさない。土がかわいたら霧吹きをする。 | 何度ものぞくと鳴かなくなることがある。夜、そっと聞く。 |
| 10月 | おとなの虫〜たまごを産む(土に産む種類) | たまごを産ませるなら、表の深さまで土を入れて、そのままにしておく。 | 産んだあとの土を入れかえると、たまごごと捨ててしまうことになる。 |
| 10月 | おとなの虫〜たまごを産む(わらに産む種類) | たまごを産ませるなら、わらの束を土に刺しておく。かじったあとがあれば産んでいる。 | 産んだあとの束を捨てない。虫がいなくなったら束を横にねかせ、コケをかけておおいをする。 |
| 11月 | たまご | 死んだ虫と食べのこしを取りのぞき、たまごの入ったものはそのままにしておく。 | 使い終わった土を次の年にそのまま使うと、カビが出やすい。ただしたまごの入ったものは、そのまま春まで置く。 |
| 12月 | たまご(冬ごしに入る) | すずしくて、温度の変わりにくい場所に移す。 | 暖房のきいた部屋に置くと、季節をかんちがいして育ちが乱れることがある。 |
そろえるもの
用品表は、全部を買うための表ではありません。自分の種類が、どこにたまごを産むかを先に確かめて、必要なものを選ぶ表です。土に産む種類には、たまごを守れる土が必要です。わらに産む種類には、産むためのわらの束が必要です。
ごはんも種類ごとに見ます。野菜、草の葉、虫用のえさ、生きたエサのうち、何を主なごはんにするかは種類別データ表で確かめます。生まれたばかりの小さい虫には、食べやすい粉のえさを用意しておくと安心です。
買い足す前に、飼育ケース、土やわら、ごはん、霧吹きのうち、自分の種類に必要な行を読み直しましょう。表にないことや未確認のことは、売り場の説明だけで決めず、専門の資料も確かめてください。
| いるもの | なんのため | えらび方 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 飼育ケース | 虫を飼う入れもの。 | 1ぴきなら横はば23cmくらい、2〜3びきなら30〜37cmくらいが目安。ふたのあなが細かいものは、小さいハエが入りにくい。 | 気の強い種類は、たまごを産ませるとき以外は1ぴきずつ分ける。 |
| 冷却設備(冷房・すずしい部屋) | 夏の部屋の温度を、その虫が耐えられる温度より下げておくための道具。 | 温度を一定にたもてるもの。温度計といっしょに使って、実際の温度をたしかめる。 | 暑さに弱い種類は、真夏の部屋の温度のままでは弱ってしまうことがある。置き場所を決めてから迎える。 |
| 鳴く虫のマット(土) | 足場になり、入れものの中のしめり気をたもつ。土に産む種では、ここがそのままたまごを産む場所になる。 | 赤玉土やピートモス、鳴く虫用として売られているマットが使える。入れる深さは表の「土(マット)の深さ」の行を見る。 | 一度たまごを産んだ土は入れかえられない。次の年もつづけるなら、おとなの虫がいるうちに新しい土を用意しておく。 |
| 止まり木・かくれ家 | オスが上にのぼって鳴くための場所と、昼に休むためのかげ。 | 木の切れはしや、植木鉢の割れたかけらでよい。暗いかげができる形のものをえらぶ。 | かくれる場所が少ないと落ちつかず、鳴かなくなることがある。 |
| 野菜(キュウリ・ナスなど) | 水分のほきゅうをかねたごはん。主なごはんが草の葉の種類でも、葉が手に入らないときはこれで代えられる。 | 家にある野菜で足りる。切り口を上にして置くと食べやすい。主なごはんは表の「おとなのごはん」の行で確かめる。 | これをあげているあいだは、別に水を用意しなくてよいとされる。いたむ前に取りかえる。 |
| 虫用の粉のえさ(動物質) | 主なごはんだけでは足りない、動物質のえいようをおぎなう。 | 鳴く虫用として売られている粉のえさか、けずりぶし・煮干し。生まれたばかりの虫にはかたいものが食べられないので、粉のタイプを用意しておく。 | これが切れると、なかまを食べてしまうことが増える。とくにたまごを産む前のメスで起きやすい。 |
| 草の葉(クズの葉など) | 草の葉を主なごはんにする種類の、いちばんのごちそう。かくれ家にもなる。 | マメ科の葉、とくにクズの葉。枯れた葉のほうを好む種類もいる。 | 葉が手に入らない日は、キュウリやナスでも代えられる。葉だけでは足りないので、動物質のえさもいっしょにあげる。 |
| たまごを産ませるわらの束 | 草のくきやわらの中にたまごを産む種のための、産む場所。 | 稲わらを10〜13cmくらいに切り、直径3cmくらいに束ねて土に刺す。止まる場所もかねる。 | 産んだあとは束ごと横にねかせて、春まで乾かさないように置いておく。 |
| 生きたエサ(ミルワームなど) | 肉を食べるくせが強い虫のごはん。 | 売っているミルワームでよい。ケースの中でにげ回らない大きさをえらぶ。 | 買い足しつづけることになるので、飼いはじめる前に手に入る場所を決めておく。 |
| 霧吹き | 土を乾かさないようにする。冬をこしたたまごには、これが命づなになる。 | 土の中まで水が届くように、まとまった量をかけられるもの。 | 春先の乾きはたまごにとってとくに危ない。ただしかけすぎると、たまごが息をできなくなることもある。 |
| 温度計 | 虫を置く場所の、本当の温度を知る。 | 部屋ではなく、ケースを置くその場所に付ける。 | 部屋の温度と、日の当たるたなの上の温度はちがう。守れているかは、はかってみないと分からない。 |
飼う前に決めておきたいのは、どの種類を飼うか、何を食べるか、たまごをどこに産むか、そして冬に何を残して世話を続けるかです。
鳴き声を楽しむ秋の世話と、たまごを乾かさずに待つ春までの世話は、ひと続きです。表で自分の種類の行を確かめ、毎日のようすを見ながら、無理のない形で育てましょう。
出典
本文の数値は次の資料を参照しています。飼育データは出典によって幅があるため、本文では幅のまま示し、確認できなかった項目は「未確認」と記載しています。
- https://www.shizutan.jp/zukan/k_1730.html
- https://www.sanko-wild.com/insect/a_suzulife.htm
- https://nakumushi.jp/?mode=f9
- https://nakumushi.jp/?mode=f10
- https://nakumushi.com/guide/
- https://www.shizutan.jp/zukan/k_3200.html
- https://www.shizutan.jp/zukan/k_0930.html
- https://nakumushi.jp/?mode=f12
- https://www.shizutan.jp/zukan/k_1010.html
- https://www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370/


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