外国産のカブトムシ・クワガタと外来生物法|買える種と、飼えない種の線引き

外国産のカブトムシ・クワガタと外来生物法|買える種と、飼えない種の線引きのイメージ ルールとマナー

店でふつうに販売されている外国産のカブトムシ・クワガタは、特定外来生物ではないため、購入して飼育できます。家で大切に飼っているだけなら、ほとんどの場合は心配しすぎる必要はありません。

ただし、知っておきたい線引きは二つあります。一つは、海外から新たに持ち込む場合と、国内で店から買う場合では確認する制度が違うことです。もう一つは、規制されていない虫でも野外へ逃がしてよいわけではないことです。

店頭で迷ったら、販売員に「国内で流通している個体か」「現在の外来生物法上、飼育に特別な手続きが必要ないか」を確認しましょう。虫の名前は、値札・レシート・購入時の写真と一緒に残しておくと、後で公式の一覧を確認しやすくなります。

外来生物法の3つの区分

表の三つの区分は、単純に「買える虫」と「買えない虫」を分けるものではありません。輸入、飼育・保管、運搬、野外へ放すことを、それぞれどう扱うかを示す制度です。

特定外来生物は、飼養等(飼育・保管・運搬など)が原則として禁止されています。愛玩目的で新しく飼うことは認められていません。例外的な許可の仕組みもあるため、販売の有無だけで個別の扱いを決めず、公式情報で確認してください。

未判定外来生物は、国内で買った個体を飼うことまで禁じる区分ではありません。一方で、海外から個人で持ち込む場合は、事前の届出や判定が必要になることがあります。名称や分類が分からないときは、値札の表記を控え、環境省の特定外来生物等一覧を正本として確認しましょう。

外来生物法の規制区分
区分 どういうものか 飼う人にとっての扱い カブトムシ・クワガタでの範囲
特定外来生物 生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものとして指定された海外起源の外来種。 飼育・栽培・保管・運搬・輸入・野外へ放つことが原則禁止。愛玩・観賞目的での新規の飼養許可は認められない。 カブトムシ・クワガタムシの仲間では、クワガタムシ科のマルバネクワガタ属(Neolucanus)の一部の種と、コガネムシ科のテナガコガネ属(Cheirotonus。国内在来のヤンバルテナガコガネを除く)・クモテナガコガネ属(Euchirus)・ヒメテナガコガネ属(Propomacrus)が挙げられている。
未判定外来生物 生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼす疑いがあるか、実態がよく分かっていない海外起源の外来生物。 輸入しようとする場合は、あらかじめ主務大臣へ届け出て、被害を及ぼすおそれがあるかどうかの判定を受ける必要がある。国内で流通している個体を飼うこと自体を禁じるものではない。 クワガタムシ科・コガネムシ科は属の単位で広く挙げられている。つまり「まだ指定されていないから自由に輸入してよい」わけではない。個人が新たに海外から持ち込む場合はとくに確認が要る。
種類名証明書の添付が必要な生物 特定外来生物等と外見がよく似ていて、すぐに判別することが困難な生物。 輸入時に、外国の政府機関等が発行した種類名証明書の添付が必須になる。

特定外来生物で禁止されていること

特定外来生物で禁止されていること
行為 扱い 補足
飼養等(飼育・栽培・保管・運搬) 原則禁止 学術研究など特別な目的では許可を受けられる場合がある。許可を受けた場合も、あらかじめ定められた「特定飼養等施設」の中でしか飼えない。
輸入 原則禁止 飼養等の許可を受けている者は輸入できる。
放出等(野外へ放つ・植える・まく) 原則禁止 放出等の許可を受けている者を除く。
譲渡し・引渡し 禁止 飼養等の許可を持っていない相手に渡すことが禁止されている。
販売 禁止

違反したときの罰則

違反したときの罰則
対象 法定刑
個人 最高で3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金
法人 最高で1億円以下の罰金

間違えやすいところ

いちばん大切なのは、「規制されていない」ことと「野外へ逃がしてよい」ことは別だ、という点です。法律上の指定がない外国産種でも、飼えなくなったからといって外へ放す選択はしません。

逃がされた虫がその土地で生き残ると、近い仲間の在来種と交雑することがあります。すると遺伝的攪乱(もともとその土地にいた虫の特徴が混ざって失われること)が起きるおそれがあります。また、すみかや餌をめぐって在来の虫と競合することもあります。

子どもには、「その虫にも、生まれた場所の仲間がいるから、おうちの虫を別の森へ引っ越しさせないんだよ」と伝えると分かりやすいでしょう。これは外国産種だけの話ではありません。国産種どうしでも、採った場所とは別の場所へ放さないことが大切です。

見た目が元気でも、自然に戻すことがその虫のためになるとは限りません。飼育ケースの中で最後まで世話をすることが、自然の虫たちを守る行動になります。

間違えやすいところ
よくある理解 実際
お店で売っている外国産のカブトムシ・クワガタは、特定外来生物だから買ってはいけない 逆で、**特定外来生物ではないから売られている**。特定外来生物は販売そのものが禁止されているため、店頭に並ぶことはない。
規制されていない種なら、飼えなくなったら逃がしてもよい 法律が禁じているかどうかと、逃がしてよいかどうかは別。規制対象でない外国産種でも、逃がせば在来種と交雑して遺伝的な多様性が失われ、生息場所や餌をめぐって競合する。環境省は販売店を通じて「逃がさないで・捨てないで」の呼びかけを行っている。
国産の種どうしなら、別の場所で採った個体を逃がしても問題ない 同じ種でも地域ごとに遺伝的な特徴が違う。他の地域の個体を放すと、その地域固有の系統が失われる(遺伝的攪乱)。採った場所以外へ放さないのが原則。

迷ったときの動き方

飼えなくなったときも、野外へ放す以外に選択肢があります。まず購入した店に相談し、引き取りの可否や相談先を確認しましょう。近くに飼育を続けられる人がいる場合も、相手が責任を持って飼えるかを確かめてから相談します。

譲る前には、購入時の値札や記録で虫の名称を確認します。外来生物法上の扱いが分からないときは、環境省の一覧を見てから動きましょう。特定外来生物に当たる可能性がある場合は、自己判断で渡したり運んだりせず、公式窓口へ確認してください。

購入前に、成虫だけでなく幼虫の期間も含めて世話を続けられるか考えると安心です。ケース、餌、温度管理、引き取り先の相談先まで、家族で先に決めておくと困りにくくなります。

迷ったときの動き方
こういうとき どうする
飼えなくなった 野外に放さず、購入した店・引き取り手を探す。最後まで飼うのが原則。
海外から持ち込みたい 未判定外来生物にあたる可能性があるため、事前に届出と判定が必要かを確認する。
飼っている種が指定されているか知りたい 環境省の特定外来生物等一覧で確認する。指定は改正されるため、本記事ではなく一覧を正本にする。

外国産のカブトムシ・クワガタを店で買って飼うこと自体を、必要以上に心配する必要はありません。大切なのは、飼い始めた虫を最後まで飼い、野外へ逃がさないことです。

外来生物法の指定や扱いは改正で変わることがあります。飼っている虫の扱いを確認したいときは、記事の記述だけで判断せず、環境省の特定外来生物等一覧で最新情報を確認してください。

出典

指定される種は法改正で変わります。本記事は制度の仕組みを説明するもので、指定種の正本は環境省の特定外来生物等一覧です。飼っている種が該当するかは、必ずそちらで確認してください。

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