「カブトムシ・クワガタ」とひとまとめにした飼い方だけでは、オオクワガタの世話は決まりません。おとなの虫で冬をこすか、たまごをどこに産むか、幼虫に何を食べさせるかで、用意するものと世話の順番が変わります。
この記事では、冬をこして長くいっしょにいるための置き場所、加水した産卵木を使うたまごの産ませ方、幼虫を菌糸ビンで育てる考え方を表といっしょに見ていきます。虫ごとのちがいと、家の中の温度を確かめながら準備しましょう。
この虫は、こういう虫
まず表の「冬をこせる?」を見ましょう。ここが「こせる」なら、夏だけを楽しむのではなく、冬のあいだをどう過ごさせ、春にまた動き出したときにどう世話するかまで考えて迎えられます。次に「おとなのちょうどよい温度」と「おとなの虫でいる期間」を見て、置き場所と長く世話を続ける準備を決めます。表の値は目安です。個体差、住んでいる地域、ケースを置く場所の室温でもようすは変わります。
| しらべること | この虫の場合 |
|---|---|
| 大きさ(オス) | 28〜77mm |
| おとなの虫でいる期間 | 24〜60ヶ月 |
| 冬をこせる? | こせる |
| おとなのちょうどよい温度 | 20〜25℃ |
| 幼虫のちょうどよい温度 | 20〜25℃ |
| 育てやすさ | やさしい |
| 夏に冷やす道具 | いらない |
育てやすさと、その理由
やさしい。おとなの虫が数年生きるので、世話の失敗を取り返しやすい。ただし たまごを産ませるには、産卵木を水につけて皮をむく手間がいる。
育てやすさが「やさしい」でも、迎える前に、冬は静かでこおらない場所を用意できるか、春からは産卵木を使うか、幼虫が出たら菌糸ビンを用意するかを家族で決めておくと安心です。おとなの虫だけを楽しむ場合と、たまごから育てる場合では、必要な世話が変わります。
ほかの虫とどうちがうか
最初の表では、オオクワガタだけの「おとなの虫でいる期間」を見ます。長くおとなの虫でいることは、冬をこしたあとも同じ虫の世話を続ける見通しにつながります。来年も同じ虫と過ごしたいかを、迎える前に考える目安になります。
次の「オオクワガタとコクワガタのちがい」では、「おとなの虫でいる期間」と「幼虫のごはん」を見くらべましょう。とくに「幼虫のごはん」がちがうと、たまごが取れたあとに用意するものが変わります。オオクワガタを選ぶなら、幼虫用には表にある「きのこの菌のびん(菌糸ビン)」を使う前提で考えます。見た目が似ていても、幼虫の入れものを同じに決めないことが大切です。
| ほかの虫とちがうところ | この虫の場合 |
|---|---|
| おとなの虫でいる期間 | 24〜60ヶ月 |
| しらべること | オオクワガタ | コクワガタ |
|---|---|---|
| 大きさ(オス) | 28〜77mm | 18〜50mm |
| おとなの虫でいる期間 | 24〜60ヶ月 | 12〜48ヶ月 |
| 幼虫のごはん | きのこの菌のびん(菌糸ビン) | 土(発酵マット) |
冬をこさせる
オオクワガタの一年は、冬におとなの虫をもぐらせて静かに過ごさせ、春に動き出したらごはんを食べさせ、産卵木を使ってたまごを産ませ、育った幼虫を菌糸ビンへ移す流れです。それぞれの場面はつながっています。冬ごしのあとにあわてて次へ進めず、虫の動きと表の「やること」を見ながら、次の準備をしましょう。
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 11月 | おとなの虫(冬ごしの準備)/幼虫 | おとなの虫の土を厚めに入れ直して、もぐれるようにする。 | もぐる場所がないと冬をこしにくい。つかまる木を入れただけでは足りない。 |
| 12月 | おとなの虫(冬ごしに入る)/幼虫 | すずしくて暗い場所に移す。あとはかわいていないか見るだけでよい。 | こおる場所はさける。外の物置は、住んでいる場所によってはこおってしまう。 |
| 1月 | おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 | おとなの虫は、すずしい静かな場所で眠らせておく。土がかわいていないかだけ見る。 | 暖かくして起こすと体力を使ってしまう。冬に何度も掘り返さない。 |
| 2月 | おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 | ひきつづきそっとしておく。ゼリーが減っていなくてよい。 | 冬にごはんが減らないのはふつうのこと。減らないからといって起こさない。 |
| 3月 | おとなの虫(冬ごしあけ) | 動きはじめたらゼリーをあげ直す。ケースをきれいにする。 | 動きだす時期は虫によってちがう。まだ動かない虫を無理に起こさない。 |
たまごを産ませる
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 4月 | おとなの虫(また元気になる) | しっかりごはんを食べさせて、たまごを産む準備をする。 | 冬ごしのあとは体力が落ちている。すぐにオスとメスをいっしょにしない。 |
| 5月 | おとなの虫(オスとメスをいっしょにする) | オスとメスをいっしょにする。たまごを産ませる木は水につけて、皮をむいておく。 | 気の強い種類は、いっしょにするとオスがメスをはさんでしまうことがある。短い時間にして、目をはなさない。 |
| 6月 | たまごを産ませる | 水につけた木をうめたケースに、メスを入れる。 | 木がかわいていると産みにくい。水につけたあとは、水気を切ってから使う。 |
| 7月 | たまごを産んでいる | そっとしておく。1ヶ月くらいでメスを取り出す。 | 何度ものぞくと、メスが産むのをやめてしまうことがある。 |
| 8月 | 幼虫を取り出す | 木をわって幼虫を取り出し、1ぴきずつ入れものに移す。 | 早すぎると、まだたまごのままつぶしてしまう。メスを入れてから2ヶ月くらいが目安。 |
幼虫を育てる
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 9月 | 小さい幼虫 | きのこの菌のびん(菌糸ビン)か、幼虫用の土に入れる。 | きのこの菌のびんが向く種類と、土のほうが向く種類がある。表の「幼虫のごはん」を見てから決める。 |
| 10月 | 大きくなってきた幼虫 | 食べたあとが入れもの全体に広がったら、新しいものにかえる。 | かえた直後に落ちつかず動きまわる虫がいる。おさまるまで動かさない。 |
たまごと幼虫
「たまごを産む場所」が「木の中(産卵木)」なので、たまごを取りたいときは産卵木を用意します。表の「幼虫のごはん」が「きのこの菌のびん(菌糸ビン)」なら、幼虫を取り出したあとに使う菌糸ビンも準備します。「幼虫でいる期間」「一ぴきのメスが産むたまごの数」「土(マット)の深さ」は未確認です。数を決めつけたり、表にない深さを目安にしたりせず、表で確認できる内容をもとに用意しましょう。
| しらべること | この虫の場合 |
|---|---|
| たまごを産む場所 | 木の中(産卵木) |
| 幼虫のごはん | きのこの菌のびん(菌糸ビン) |
| 幼虫でいる期間 | 未確認 |
| 1ぴきのメスが産むたまごの数 | 未確認 |
| 土(マット)の深さ | 未確認 |
そろえるもの
用品は、買い足す前に表の「いるもの」と「なんのため」を見くらべましょう。オオクワガタでは、冬にもぐるための越冬用の深いマット、たまごを産ませるための産卵木、幼虫用の菌糸ビンが、それぞれ別の役目を持ちます。「えらび方」と「気をつけること」まで読んでから選ぶと、用途のちがうものを取りちがえにくくなります。
| いるもの | なんのため | えらび方 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 飼育ケース | 虫を飼う入れもの。 | 1ぴきなら横はば23cmくらい、2〜3びきなら30〜37cmくらいが目安。ふたのあなが細かいものは、小さいハエが入りにくい。 | 気の強い種類は、たまごを産ませるとき以外は1ぴきずつ分ける。 |
| 成虫用マット(床材) | ケースの底にしく土。しめり気をたもって、かくれる場所になる。 | 深さ5〜10cmが目安。にぎって形が残り、水がしたたらないくらいにしめらせる。 | 幼虫を育てる土とは別のもの。おとなの虫用は、栄養よりも「しめり気」と「もぐりやすさ」でえらぶ。 |
| 昆虫ゼリー | おとなの虫の主なごはん。 | 売っている昆虫ゼリーで足りる。種類をえらぶことより、切らさないことのほうが大事。 | スイカのような水分の多いくだものは、おなかをこわしたり小さいハエがわいたりする。主なごはんにはしない。 |
| 餌皿 | ゼリーを固定して、土にうまらないようにする。 | ゼリーのカップがはまるくぼみのあるもの。つかまる木をかねた形だと使いやすい。 | — |
| 転倒防止材(樹皮・小枝) | ひっくり返った虫が起き上がるための足場。 | 木の皮や小枝など、つめが引っかかるもの。 | 起き上がれないまま弱ってしまう事故を減らせる。いちばん忘れられやすいもの。 |
| 産卵木(ほだ木) | メスがたまごを産みつける、やわらかくなった木。 | クヌギかコナラ。使う前に水につけて、皮をむいておく。 | 木がかわいていると産みにくい。水につけたあとは、水気を切ってからうめる。 |
| 菌糸ビン | きのこの菌を回した土のびん。幼虫を大きく育てられる。 | その種類に合うか確かめてからえらぶ。「幼虫のごはん」がきのこの菌のびんになっている虫に使う。 | 土よりも大きく育つが、向く種類は限られる。土のほうが向く虫に使っても、あまり意味がない。 |
| 越冬用の深いマット | おとなの虫が冬にもぐって過ごすための、厚くしいた土。 | 虫がすっぽりもぐれる深さまで入れる。 | もぐる場所がないと冬をこしにくい。つかまる木では代わりにならない。 |
| 温度計 | 虫を置く場所の、本当の温度を知る。 | 部屋ではなく、ケースを置くその場所に付ける。 | 部屋の温度と、日の当たるたなの上の温度はちがう。守れているかは、はかってみないと分からない。 |
オオクワガタを迎える前に、冬をこす置き場所を決め、おとなの虫の世話だけにするか、産卵木でたまごを取り菌糸ビンで幼虫まで育てるかを決めましょう。表の「おとなのちょうどよい温度」を、ケースを置く場所で温度計を使って確かめることも大切です。虫のようすには個体差があります。表を道しるべにして、急がず世話を続けてください。
出典
本文の数値と、月ごとの世話のしかたは、項目ごとに次の資料を参照しています。飼育データは出典によって幅があるため、本文では幅のまま示し、確認できなかった項目は「未確認」と記載しています(推測では埋めていません)。
| なにについて | しらべたこと | 見た資料 |
|---|---|---|
| オオクワガタ | 大きさ(オス) | kids.yahoo.co.jp/zukan/pet/beetle/jstagbeetle |
| オオクワガタ | おとなの虫でいる期間 / 冬をこせる? | www.bepal.net/archives/256270 |
| オオクワガタ | おとなのちょうどよい温度 / たまごを産む場所 / 育てやすさ | www.beetle-farm.com/hpgen/HPB/entries/5.html |
| オオクワガタ | 幼虫のちょうどよい温度 / 幼虫のごはん | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/larva/kinshi-breeding |
| オオクワガタ | おとなのごはん | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| そろえるもの | 飼育ケース / 昆虫ゼリー / 餌皿 / 転倒防止材(樹皮・小枝) | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| そろえるもの | 成虫用マット(床材) | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/imago |
| そろえるもの | 産卵木(ほだ木) | www.beetle-farm.com/hpgen/HPB/entries/5.html |
| そろえるもの | 菌糸ビン | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/larva/kinshi-breeding |
| そろえるもの | 越冬用の深いマット | www.bepal.net/archives/256270 |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 1月:おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 / 2月:おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 / 11月:おとなの虫(冬ごしの準備)/幼虫 / 12月:おとなの虫(冬ごしに入る)/幼虫 | www.bepal.net/archives/256270 |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 3月:おとなの虫(冬ごしあけ) / 4月:おとなの虫(また元気になる) / 11月:おとなの虫(冬ごしの準備)/幼虫 / 12月:おとなの虫(冬ごしに入る)/幼虫 | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/imago |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 3月:おとなの虫(冬ごしあけ) / 4月:おとなの虫(また元気になる) | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 5月:おとなの虫(オスとメスをいっしょにする) / 6月:たまごを産ませる / 7月:たまごを産んでいる / 8月:幼虫を取り出す | www.beetle-farm.com/hpgen/HPB/entries/5.html |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 8月:幼虫を取り出す / 9月:小さい幼虫 / 10月:大きくなってきた幼虫 | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/larva/kinshi-breeding |


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