ヒラタクワガタは、カブトムシ・クワガタとひとまとめにして世話を決められる虫ではありません。気が強く、同じケースで暮らさせると、虫どうしが傷つくことがあります。
この記事では、ヒラタクワガタを分けて飼う理由、冬をこすための準備、たまごを産ませる木の用意を説明します。親子で世話を始める前に、長く元気に過ごせる場所を決めましょう。
この虫は、こういう虫
まずは「冬をこせる?」を見てください。ここが、来年も同じおとなの虫を飼えるかを考える出発点です。次に「おとなの虫でいる期間」と「おとなのちょうどよい温度」を見れば、置き場所と世話を続ける見通しを立てやすくなります。「大きさ(オス)」は、ケースや持ち方を考える手がかりです。
| しらべること | この虫の場合 |
|---|---|
| 大きさ(オス) | 18〜85mm |
| おとなの虫でいる期間 | 24〜48ヶ月 |
| 冬をこせる? | こせる |
| おとなのちょうどよい温度 | 20〜25℃ |
| 幼虫のちょうどよい温度 | 20〜25℃ |
| 育てやすさ | ふつう |
| 夏に冷やす道具 | いらない |
育てやすさと、その理由
ふつう。飼うこと自体はむずかしくないが、気が荒く、同じケースに入れると はさみ殺してしまう。たまごを産ませるとき以外は必ず一ぴきずつ分ける。
飼う前に、ヒラタクワガタをそれぞれ分けて置けるか決めておきましょう。ふだんから同じケースに入れないため、虫の数だけ落ち着ける場所が必要です。たまごを産ませるときだけは、様子を見ながらオスとメスをいっしょにします。
ほかの虫とどうちがうか
最初の表は、ヒラタクワガタだけを見たときの「おとなの虫でいる期間」を確かめる表です。長く飼う見通しを立てて、毎日の世話をだれが続けるか親子で決めておくと安心です。
次の「ヒラタクワガタとオオクワガタのちがい」は、似た虫と迷ったときに見る表です。「大きさ(オス)」はケースのゆとりや扱いやすさに関わります。「おとなの虫でいる期間」は、お世話を続ける期間の考え方に関わります。そして「育てやすさ」は、初めて飼う家でどちらを選ぶか考える手がかりになります。ヒラタクワガタを選ぶなら、気の強さをふまえ、ふだんは単独で飼う準備を優先してください。
| ほかの虫とちがうところ | この虫の場合 |
|---|---|
| おとなの虫でいる期間 | 24〜48ヶ月 |
| しらべること | ヒラタクワガタ | オオクワガタ |
|---|---|---|
| 大きさ(オス) | 18〜85mm | 28〜77mm |
| おとなの虫でいる期間 | 24〜48ヶ月 | 24〜60ヶ月 |
| 育てやすさ | ふつう | やさしい |
冬をこさせる
ヒラタクワガタの一年は、冬にもぐって静かに過ごし、動き出してからごはんを食べ、たまごを産ませ、幼虫を育てる流れです。前の場面で虫を休ませたり、体力を整えたりすることが、次の場面の準備になります。表は月だけを追うのではなく、「虫のようす」と「やること」を組にして読み、動いていない虫を急がせないことが大切です。
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 11月 | おとなの虫(冬ごしの準備)/幼虫 | おとなの虫の土を厚めに入れ直して、もぐれるようにする。 | もぐる場所がないと冬をこしにくい。つかまる木を入れただけでは足りない。 |
| 12月 | おとなの虫(冬ごしに入る)/幼虫 | すずしくて暗い場所に移す。あとはかわいていないか見るだけでよい。 | こおる場所はさける。外の物置は、住んでいる場所によってはこおってしまう。 |
| 1月 | おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 | おとなの虫は、すずしい静かな場所で眠らせておく。土がかわいていないかだけ見る。 | 暖かくして起こすと体力を使ってしまう。冬に何度も掘り返さない。 |
| 2月 | おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 | ひきつづきそっとしておく。ゼリーが減っていなくてよい。 | 冬にごはんが減らないのはふつうのこと。減らないからといって起こさない。 |
| 3月 | おとなの虫(冬ごしあけ) | 動きはじめたらゼリーをあげ直す。ケースをきれいにする。 | 動きだす時期は虫によってちがう。まだ動かない虫を無理に起こさない。 |
たまごを産ませる
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 4月 | おとなの虫(また元気になる) | しっかりごはんを食べさせて、たまごを産む準備をする。 | 冬ごしのあとは体力が落ちている。すぐにオスとメスをいっしょにしない。 |
| 5月 | おとなの虫(オスとメスをいっしょにする) | オスとメスをいっしょにする。たまごを産ませる木は水につけて、皮をむいておく。 | 気の強い種類は、いっしょにするとオスがメスをはさんでしまうことがある。短い時間にして、目をはなさない。 |
| 6月 | たまごを産ませる | 水につけた木をうめたケースに、メスを入れる。 | 木がかわいていると産みにくい。水につけたあとは、水気を切ってから使う。 |
| 7月 | たまごを産んでいる | そっとしておく。1ヶ月くらいでメスを取り出す。 | 何度ものぞくと、メスが産むのをやめてしまうことがある。 |
| 8月 | 幼虫を取り出す | 木をわって幼虫を取り出し、1ぴきずつ入れものに移す。 | 早すぎると、まだたまごのままつぶしてしまう。メスを入れてから2ヶ月くらいが目安。 |
幼虫を育てる
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 9月 | 小さい幼虫 | きのこの菌のびん(菌糸ビン)か、幼虫用の土に入れる。 | きのこの菌のびんが向く種類と、土のほうが向く種類がある。表の「幼虫のごはん」を見てから決める。 |
| 10月 | 大きくなってきた幼虫 | 食べたあとが入れもの全体に広がったら、新しいものにかえる。 | かえた直後に落ちつかず動きまわる虫がいる。おさまるまで動かさない。 |
たまごと幼虫
「たまごを産む場所」が「木の中(産卵木)」なので、たまごを産ませたいときは産卵木を用意します。木を使う前の準備も、表と用品表を合わせて確かめましょう。「幼虫のごはん」が「きのこの菌のびん(菌糸ビン)」なら、幼虫を取り出したあとに菌糸ビンを用意します。「幼虫でいる期間」「一ぴきのメスが産むたまごの数」「土(マット)の深さ」は未確認です。表にない目安を決めつけず、様子を見ながら進めてください。
| しらべること | この虫の場合 |
|---|---|
| たまごを産む場所 | 木の中(産卵木) |
| 幼虫のごはん | きのこの菌のびん(菌糸ビン) |
| 幼虫でいる期間 | 未確認 |
| 1ぴきのメスが産むたまごの数 | 未確認 |
| 土(マット)の深さ | 未確認 |
そろえるもの
用品は、先に自分がする世話を決めてから選びます。ふだんの単独飼育なら「飼育ケース」「成虫用マット(床材)」「昆虫ゼリー」「餌皿」「転倒防止材(樹皮・小枝)」を確かめます。冬をこすなら「越冬用の深いマット」、たまごを産ませるなら「産卵木(ほだ木)」、幼虫を育てるなら「菌糸ビン」の行を見ます。買い足す前に、用品表の自分の虫に当てはまる行を読み直しましょう。
| いるもの | なんのため | えらび方 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 飼育ケース | 虫を飼う入れもの。 | 1ぴきなら横はば23cmくらい、2〜3びきなら30〜37cmくらいが目安。ふたのあなが細かいものは、小さいハエが入りにくい。 | 気の強い種類は、たまごを産ませるとき以外は1ぴきずつ分ける。 |
| 成虫用マット(床材) | ケースの底にしく土。しめり気をたもって、かくれる場所になる。 | 深さ5〜10cmが目安。にぎって形が残り、水がしたたらないくらいにしめらせる。 | 幼虫を育てる土とは別のもの。おとなの虫用は、栄養よりも「しめり気」と「もぐりやすさ」でえらぶ。 |
| 昆虫ゼリー | おとなの虫の主なごはん。 | 売っている昆虫ゼリーで足りる。種類をえらぶことより、切らさないことのほうが大事。 | スイカのような水分の多いくだものは、おなかをこわしたり小さいハエがわいたりする。主なごはんにはしない。 |
| 餌皿 | ゼリーを固定して、土にうまらないようにする。 | ゼリーのカップがはまるくぼみのあるもの。つかまる木をかねた形だと使いやすい。 | — |
| 転倒防止材(樹皮・小枝) | ひっくり返った虫が起き上がるための足場。 | 木の皮や小枝など、つめが引っかかるもの。 | 起き上がれないまま弱ってしまう事故を減らせる。いちばん忘れられやすいもの。 |
| 産卵木(ほだ木) | メスがたまごを産みつける、やわらかくなった木。 | クヌギかコナラ。使う前に水につけて、皮をむいておく。 | 木がかわいていると産みにくい。水につけたあとは、水気を切ってからうめる。 |
| 菌糸ビン | きのこの菌を回した土のびん。幼虫を大きく育てられる。 | その種類に合うか確かめてからえらぶ。「幼虫のごはん」がきのこの菌のびんになっている虫に使う。 | 土よりも大きく育つが、向く種類は限られる。土のほうが向く虫に使っても、あまり意味がない。 |
| 越冬用の深いマット | おとなの虫が冬にもぐって過ごすための、厚くしいた土。 | 虫がすっぽりもぐれる深さまで入れる。 | もぐる場所がないと冬をこしにくい。つかまる木では代わりにならない。 |
| 温度計 | 虫を置く場所の、本当の温度を知る。 | 部屋ではなく、ケースを置くその場所に付ける。 | 部屋の温度と、日の当たるたなの上の温度はちがう。守れているかは、はかってみないと分からない。 |
ヒラタクワガタを迎える前に、ふだんは一ぴきずつ分けて飼う場所を決めましょう。冬にもぐれる準備をし、たまごを産ませたいときは産卵木と見守る時間も用意します。表を見ながら、その虫の様子に合わせて、あわてず世話を続けてください。
出典
本文の数値と、月ごとの世話のしかたは、項目ごとに次の資料を参照しています。飼育データは出典によって幅があるため、本文では幅のまま示し、確認できなかった項目は「未確認」と記載しています(推測では埋めていません)。
| なにについて | しらべたこと | 見た資料 |
|---|---|---|
| ヒラタクワガタ | 大きさ(オス) / おとなの虫でいる期間 / 冬をこせる? | www.bepal.net/archives/256270 |
| ヒラタクワガタ | おとなのちょうどよい温度 / 幼虫のちょうどよい温度 / たまごを産む場所 / 幼虫のごはん / 育てやすさ | www.mushikichi.com/blog/hiratakuwagata |
| ヒラタクワガタ | おとなのごはん | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| そろえるもの | 飼育ケース / 昆虫ゼリー / 餌皿 / 転倒防止材(樹皮・小枝) | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| そろえるもの | 成虫用マット(床材) | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/imago |
| そろえるもの | 産卵木(ほだ木) | www.beetle-farm.com/hpgen/HPB/entries/5.html |
| そろえるもの | 菌糸ビン | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/larva/kinshi-breeding |
| そろえるもの | 越冬用の深いマット | www.bepal.net/archives/256270 |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 1月:おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 / 2月:おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 / 11月:おとなの虫(冬ごしの準備)/幼虫 / 12月:おとなの虫(冬ごしに入る)/幼虫 | www.bepal.net/archives/256270 |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 3月:おとなの虫(冬ごしあけ) / 4月:おとなの虫(また元気になる) / 11月:おとなの虫(冬ごしの準備)/幼虫 / 12月:おとなの虫(冬ごしに入る)/幼虫 | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/imago |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 3月:おとなの虫(冬ごしあけ) / 4月:おとなの虫(また元気になる) | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 5月:おとなの虫(オスとメスをいっしょにする) / 6月:たまごを産ませる / 7月:たまごを産んでいる / 8月:幼虫を取り出す | www.beetle-farm.com/hpgen/HPB/entries/5.html |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 8月:幼虫を取り出す / 9月:小さい幼虫 / 10月:大きくなってきた幼虫 | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/larva/kinshi-breeding |


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