「カブトムシ・クワガタ」とまとめて考えるだけでは、コクワガタのお世話は決まりません。冬の過ごし方や、幼虫に用意するものは、虫によって変わります。
コクワガタは、身近で見つけやすく、おだやかに観察しやすいクワガタです。表を見ながら、迎える前の準備、冬の過ごし方、たまごから幼虫を育てる流れを確かめましょう。
この虫は、こういう虫
まず「冬をこせる?」を見ましょう。ここで、来年も同じ虫を飼えるかどうかが分かります。次に「おとなのちょうどよい温度」と「おとなの虫でいる期間」を見れば、置き場所と、長く世話を続ける心づもりを決めやすくなります。
| しらべること | この虫の場合 |
|---|---|
| 大きさ(オス) | 18〜50mm |
| おとなの虫でいる期間 | 12〜48ヶ月 |
| 冬をこせる? | こせる |
| おとなのちょうどよい温度 | 20〜25℃ |
| 幼虫のちょうどよい温度 | 20〜25℃ |
| 育てやすさ | やさしい |
| 夏に冷やす道具 | いらない |
育てやすさと、その理由
やさしい。国産クワガタでいちばん手に入りやすく、気が荒くないので何びきか同じケースに入れても事故が起きにくい。冬もこせる。
コクワガタを迎える前に、夏は落ち着いて置ける場所、冬はすずしく静かに休ませられる場所を決めておきましょう。冬をこす虫なので、夏だけ楽しむのではなく、季節が変わっても世話を続けられるかを家族で相談しておくと安心です。
ほかの虫とどうちがうか
「コクワガタだけの特ちょう」は、この虫を飼い続ける見通しをつかむ表です。「おとなの虫でいる期間」を見て、短い観察で終わらず、季節をまたいで同じ個体を世話する準備がいることを考えましょう。
「コクワガタとオオクワガタのちがい」は、似た虫のどちらを選ぶか迷ったときに役立ちます。「大きさ(オス)」はケースや観察のしやすさに関わります。いちばん世話を変えるのは「幼虫のごはん」です。コクワガタでは「土(発酵マット)」と示されているため、幼虫を育てるなら、その行に合う発酵マットを用意します。「おとなの虫でいる期間」も見比べて、家でどれくらい世話を続けるかを決めましょう。
| ほかの虫とちがうところ | この虫の場合 |
|---|---|
| おとなの虫でいる期間 | 12〜48ヶ月 |
| しらべること | コクワガタ | オオクワガタ |
|---|---|---|
| 大きさ(オス) | 18〜50mm | 28〜77mm |
| おとなの虫でいる期間 | 12〜48ヶ月 | 24〜60ヶ月 |
| 幼虫のごはん | 土(発酵マット) | きのこの菌のびん(菌糸ビン) |
冬をこさせる
コクワガタの一年は、冬を静かに過ごし、暖かくなるとおとなの虫が動き出し、たまごを産ませ、そのあと幼虫を育てる流れです。「冬をこさせる」で土にもぐって休めるようにしておくことが、春から先のお世話につながります。各場面の表では、その月の虫のようすを見てから、やることと気をつけることを確かめましょう。
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 11月 | おとなの虫(冬ごしの準備)/幼虫 | おとなの虫の土を厚めに入れ直して、もぐれるようにする。 | もぐる場所がないと冬をこしにくい。つかまる木を入れただけでは足りない。 |
| 12月 | おとなの虫(冬ごしに入る)/幼虫 | すずしくて暗い場所に移す。あとはかわいていないか見るだけでよい。 | こおる場所はさける。外の物置は、住んでいる場所によってはこおってしまう。 |
| 1月 | おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 | おとなの虫は、すずしい静かな場所で眠らせておく。土がかわいていないかだけ見る。 | 暖かくして起こすと体力を使ってしまう。冬に何度も掘り返さない。 |
| 2月 | おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 | ひきつづきそっとしておく。ゼリーが減っていなくてよい。 | 冬にごはんが減らないのはふつうのこと。減らないからといって起こさない。 |
| 3月 | おとなの虫(冬ごしあけ) | 動きはじめたらゼリーをあげ直す。ケースをきれいにする。 | 動きだす時期は虫によってちがう。まだ動かない虫を無理に起こさない。 |
たまごを産ませる
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 4月 | おとなの虫(また元気になる) | しっかりごはんを食べさせて、たまごを産む準備をする。 | 冬ごしのあとは体力が落ちている。すぐにオスとメスをいっしょにしない。 |
| 5月 | おとなの虫(オスとメスをいっしょにする) | オスとメスをいっしょにする。たまごを産ませる木は水につけて、皮をむいておく。 | 気の強い種類は、いっしょにするとオスがメスをはさんでしまうことがある。短い時間にして、目をはなさない。 |
| 6月 | たまごを産ませる | 水につけた木をうめたケースに、メスを入れる。 | 木がかわいていると産みにくい。水につけたあとは、水気を切ってから使う。 |
| 7月 | たまごを産んでいる | そっとしておく。1ヶ月くらいでメスを取り出す。 | 何度ものぞくと、メスが産むのをやめてしまうことがある。 |
| 8月 | 幼虫を取り出す | 木をわって幼虫を取り出し、1ぴきずつ入れものに移す。 | 早すぎると、まだたまごのままつぶしてしまう。メスを入れてから2ヶ月くらいが目安。 |
幼虫を育てる
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 9月 | 小さい幼虫 | きのこの菌のびん(菌糸ビン)か、幼虫用の土に入れる。 | きのこの菌のびんが向く種類と、土のほうが向く種類がある。表の「幼虫のごはん」を見てから決める。 |
| 10月 | 大きくなってきた幼虫 | 食べたあとが入れもの全体に広がったら、新しいものにかえる。 | かえた直後に落ちつかず動きまわる虫がいる。おさまるまで動かさない。 |
たまごと幼虫
「たまごと幼虫」では、まず「たまごを産む場所」と「幼虫のごはん」を見ましょう。たまごを産ませたいときは「木の中(産卵木)」に合う産卵木を用意します。幼虫を育てたいときは「土(発酵マット)」に合う発酵マットを選びます。「幼虫でいる期間」「一ぴきのメスが産むたまごの数」「土(マット)の深さ」は未確認です。表にない内容を決めつけず、幼虫の様子をよく観察しましょう。
| しらべること | この虫の場合 |
|---|---|
| たまごを産む場所 | 木の中(産卵木) |
| 幼虫のごはん | 土(発酵マット) |
| 幼虫でいる期間 | 未確認 |
| 1ぴきのメスが産むたまごの数 | 未確認 |
| 土(マット)の深さ | 未確認 |
そろえるもの
用品は、買い足す前に「そろえるもの」の自分の虫に関わる行を確かめましょう。おとなの虫を飼うためのものと、たまごを産ませるためのもの、幼虫を育てるためのものは役目が違います。とくに成虫用マット(床材)と発酵マット(幼虫用)は、使う場面を取り違えないことが大切です。
| いるもの | なんのため | えらび方 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 飼育ケース | 虫を飼う入れもの。 | 1ぴきなら横はば23cmくらい、2〜3びきなら30〜37cmくらいが目安。ふたのあなが細かいものは、小さいハエが入りにくい。 | 気の強い種類は、たまごを産ませるとき以外は1ぴきずつ分ける。 |
| 成虫用マット(床材) | ケースの底にしく土。しめり気をたもって、かくれる場所になる。 | 深さ5〜10cmが目安。にぎって形が残り、水がしたたらないくらいにしめらせる。 | 幼虫を育てる土とは別のもの。おとなの虫用は、栄養よりも「しめり気」と「もぐりやすさ」でえらぶ。 |
| 昆虫ゼリー | おとなの虫の主なごはん。 | 売っている昆虫ゼリーで足りる。種類をえらぶことより、切らさないことのほうが大事。 | スイカのような水分の多いくだものは、おなかをこわしたり小さいハエがわいたりする。主なごはんにはしない。 |
| 餌皿 | ゼリーを固定して、土にうまらないようにする。 | ゼリーのカップがはまるくぼみのあるもの。つかまる木をかねた形だと使いやすい。 | — |
| 転倒防止材(樹皮・小枝) | ひっくり返った虫が起き上がるための足場。 | 木の皮や小枝など、つめが引っかかるもの。 | 起き上がれないまま弱ってしまう事故を減らせる。いちばん忘れられやすいもの。 |
| 産卵木(ほだ木) | メスがたまごを産みつける、やわらかくなった木。 | クヌギかコナラ。使う前に水につけて、皮をむいておく。 | 木がかわいていると産みにくい。水につけたあとは、水気を切ってからうめる。 |
| 発酵マット(幼虫用) | 幼虫のごはんそのもの。 | きのこマット・完熟マットなど、幼虫用として売られているもの。 | 入れかえの目安は3ヶ月くらい。フンばかりになってからでは遅い。 |
| 越冬用の深いマット | おとなの虫が冬にもぐって過ごすための、厚くしいた土。 | 虫がすっぽりもぐれる深さまで入れる。 | もぐる場所がないと冬をこしにくい。つかまる木では代わりにならない。 |
| 温度計 | 虫を置く場所の、本当の温度を知る。 | 部屋ではなく、ケースを置くその場所に付ける。 | 部屋の温度と、日の当たるたなの上の温度はちがう。守れているかは、はかってみないと分からない。 |
コクワガタを迎える前に、置き場所、冬にもぐれる土、毎日のごはんを用意できるかを決めましょう。たまごや幼虫まで育てたいなら、産卵木と発酵マットも必要になります。表で季節ごとの虫のようすを確かめながら、家族でゆっくり観察を続けてください。
出典
本文の数値と、月ごとの世話のしかたは、項目ごとに次の資料を参照しています。飼育データは出典によって幅があるため、本文では幅のまま示し、確認できなかった項目は「未確認」と記載しています(推測では埋めていません)。
| なにについて | しらべたこと | 見た資料 |
|---|---|---|
| コクワガタ | 大きさ(オス) / 育てやすさ | www.tcaeco.ac.jp/contents/animalbook/small-stag-beetle |
| コクワガタ | おとなの虫でいる期間 / おとなのちょうどよい温度 / 幼虫のちょうどよい温度 / たまごを産む場所 / 幼虫のごはん | www.mushikichi.com/blog/kokuwagata |
| コクワガタ | 冬をこせる? | www.bepal.net/archives/256270 |
| コクワガタ | おとなのごはん | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| そろえるもの | 飼育ケース / 昆虫ゼリー / 餌皿 / 転倒防止材(樹皮・小枝) | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| そろえるもの | 成虫用マット(床材) | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/imago |
| そろえるもの | 産卵木(ほだ木) | www.beetle-farm.com/hpgen/HPB/entries/5.html |
| そろえるもの | 発酵マット(幼虫用) | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kabutomusi/kabuto-larva |
| そろえるもの | 越冬用の深いマット | www.bepal.net/archives/256270 |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 1月:おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 / 2月:おとなの虫(冬ごし中)/幼虫 / 11月:おとなの虫(冬ごしの準備)/幼虫 / 12月:おとなの虫(冬ごしに入る)/幼虫 | www.bepal.net/archives/256270 |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 3月:おとなの虫(冬ごしあけ) / 4月:おとなの虫(また元気になる) / 11月:おとなの虫(冬ごしの準備)/幼虫 / 12月:おとなの虫(冬ごしに入る)/幼虫 | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/imago |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 3月:おとなの虫(冬ごしあけ) / 4月:おとなの虫(また元気になる) | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 5月:おとなの虫(オスとメスをいっしょにする) / 6月:たまごを産ませる / 7月:たまごを産んでいる / 8月:幼虫を取り出す | www.beetle-farm.com/hpgen/HPB/entries/5.html |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせる種類) | 8月:幼虫を取り出す / 9月:小さい幼虫 / 10月:大きくなってきた幼虫 | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/larva/kinshi-breeding |


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