ノコギリクワガタは、カブトムシ・クワガタとひとまとめにして考えるだけでは、お世話を決められません。おとなの虫で過ごす長さや、次の年へつなぐ育ち方が、この虫に合っているかを先に見ましょう。
この記事では、おとなの虫を迎えてから、たまご、幼虫、さなぎを経て次のおとなの虫になるまでをたどります。秋におとなの虫がいなくなっても、世話の失敗とはかぎりません。土の中に残る次の世代を、あわてず育てる手順を確認できます。
この虫は、こういう虫
まず「冬をこせる?」を見ましょう。ここで、来年も同じおとなの虫を飼えるか、それとも次の世代を育ててつなぐ虫かが分かります。続けて「おとなの虫でいる期間」と「おとなのちょうどよい温度」を見ると、迎えたあとに必要なお世話の見通しが立ちます。幼虫まで育てるなら、「幼虫のちょうどよい温度」も先に確かめておくと安心です。
| しらべること | この虫の場合 |
|---|---|
| 大きさ(オス) | 21〜77mm |
| おとなの虫でいる期間 | 2〜4ヶ月 |
| 冬をこせる? | こせない |
| おとなのちょうどよい温度 | 20〜28℃ |
| 幼虫のちょうどよい温度 | 20〜25℃ |
| 育てやすさ | ふつう |
| 夏に冷やす道具 | いらない |
育てやすさと、その理由
ふつう。飼うことはやさしいが、おとなの虫になったその年の秋に寿命がくる。『急に死んだ』の多くは世話の失敗ではなく寿命なので、そのつもりで迎える。
飼う前に、おとなの虫を楽しむだけにするか、たまごから次の世代も育てるかを家族で決めておきましょう。次の世代へつなぐなら、おとなの虫がいなくなった後も土を残し、幼虫ごとの入れものや土を用意することになります。置き場所と、お世話を続ける人を先に決めておくと、あわてにくくなります。
ほかの虫とどうちがうか
最初の表は、ノコギリクワガタだけの特ちょうを見る表です。とくに「おとなの虫でいる期間」は、夏に迎えたおとなの虫との時間と、次の世代へつなぐ準備をいつ始めるかに関わります。
次の表は、カブトムシと迷ったときに見る表です。「おとなの虫でいる期間」と「幼虫でいる期間」は、お世話が続く見通しを変えます。「育てやすさ」も、初めての家族がどちらを選ぶか考える手がかりになります。一方で、ノコギリクワガタの「1ぴきのメスが産むたまごの数」と「土(マット)の深さ」は未確認です。カブトムシの行の値を、そのままノコギリクワガタに当てはめないでください。
| ほかの虫とちがうところ | この虫の場合 |
|---|---|
| おとなの虫でいる期間 | 2〜4ヶ月 |
| しらべること | ノコギリクワガタ | カブトムシ |
|---|---|---|
| 大きさ(オス) | 21〜77mm | 未確認 |
| おとなの虫でいる期間 | 2〜4ヶ月 | 2〜3ヶ月 |
| 育てやすさ | ふつう | やさしい |
| 幼虫でいる期間 | 12〜24ヶ月 | 10〜12ヶ月 |
| 1ぴきのメスが産むたまごの数 | 未確認 | 20〜30こ |
| 土(マット)の深さ | 未確認 | 10〜15cm |
おとなの虫でいるあいだ
一年の表は、おとなの虫を迎える場面から始まり、たまごと小さい幼虫、育つ幼虫、さなぎを待つ場面へ続きます。そして、土の中から次のおとなの虫につながります。大切なのは、月だけで決めつけず、表の「虫のようす」を見てお世話を選ぶことです。おとなの虫が食べ始めるまでは待ち、たまごが入った土は残し、幼虫がさなぎになる前は動かさない、という流れで考えましょう。
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 7月 | おとなの虫(ごはんを食べはじめる) | 土の上に出てきたら昆虫ゼリーをあげはじめる。つかまる木を入れる。 | おとなになってもすぐには食べない。自分から出てくるまで掘り出さない。 |
| 8月 | おとなの虫(いちばん元気な時期・たまごを産む) | たまごを産ませるなら、土を深く入れてオスとメスをいっしょにする。ゼリーを切らさない。 | 日なたに置いた場所や、しめきった車の中は、短い時間でも危ない。 |
おとなの虫は、その年かぎり
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 9月 | おとなの虫の終わり/たまご〜小さい幼虫 | おとなの虫を別のケースに移し、たまごの入った土はそのままにしておく。 | おとなの虫がいなくなるのは寿命であることが多く、お世話の失敗とはかぎらない。いっしょにしておくと、たまごをつぶしてしまうことがある。 |
| 10月 | 小さい幼虫 | 幼虫を見つけて、1ぴきずつ別の入れものに分ける。 | 小さいうちは体がやわらかい。手でつままず、スプーンなどで土ごとすくう。 |
次の年の幼虫を育てる
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 11月 | 大きくなってきた幼虫 | 土を新しくする。フンが目立ってきたら入れかえの合図。 | フンばかりになった土は、もう栄養がない。そうなる前にかえる。 |
| 12月 | 幼虫 | かわいていないか見る。あとは春まで、ほとんど手をかけなくてよい。 | 水を入れすぎるとカビや小さいハエのもとになる。にぎって形が残るくらいがちょうどよい。 |
| 1月 | 幼虫 | 土がかわいていないか見るだけでよい。あまり動かなくても心配ない。 | 暖かい部屋に置くと早く育ちすぎて、小さいおとなの虫になる。玄関や北向きの廊下など、すずしい場所が向く。 |
| 2月 | 幼虫 | ひきつづき、かわいていないかだけ見る。 | 寒い時期はあまり動かないので、土を新しくしなくてよい。 |
| 3月 | 幼虫 | さなぎになる前の、最後の土の入れかえをする。 | 4月からの入れかえは「さなぎの部屋」をこわしてしまう。かえるならこの時期が最後。 |
さなぎになるのを待つ
| いつ | 虫のようす | やること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 4月 | 幼虫〜さなぎになる前 | ケースを動かさない。土もかえない。 | さなぎの部屋(土の中に作る、さなぎで過ごすための空間)をこわすと、羽がのびないまま育つことがある。掘り返さない。 |
| 5月 | さなぎ | そっとしておく。ゆらさない。 | この時期に掘り出すのがいちばんの失敗のもと。姿が見えなくても大丈夫。 |
| 6月 | さなぎ〜おとなの虫になるころ | 待つ。ケースの横から見えることもある。 | おとなになったばかりの虫は体がやわらかい。さわると形がくずれてしまう。 |
たまごと幼虫
「たまごを産む場所」が土の中なので、たまごを産ませるなら「産卵用マット(深敷き)」を用意します。木を用意するのではなく、土の量としめり気を整えることが、この虫に合った準備です。
幼虫のごはんは「土(発酵マット)」です。おとなの虫用の土とは役目がちがうため、幼虫には「発酵マット(幼虫用)」を用意します。「幼虫でいる期間」を見て、すぐにおとなになると思わず、土を見ながら育てる予定を立てましょう。「1ぴきのメスが産むたまごの数」と「土(マット)の深さ」は未確認なので、決めつけずに準備します。
| しらべること | この虫の場合 |
|---|---|
| たまごを産む場所 | 土の中 |
| 幼虫のごはん | 土(発酵マット) |
| 幼虫でいる期間 | 12〜24ヶ月 |
| 1ぴきのメスが産むたまごの数 | 未確認 |
| 土(マット)の深さ | 未確認 |
そろえるもの
用品は、名前だけで選ばず、「なんのため」と「気をつけること」をセットで読みましょう。おとなの虫には成虫用のもの、たまごを産ませるときには産卵用のもの、幼虫には幼虫用のものが必要です。買い足す前に、いま飼っている虫がどの場面にいるかを確かめると、まちがった土や用品を選びにくくなります。
| いるもの | なんのため | えらび方 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 飼育ケース | 虫を飼う入れもの。 | 1ぴきなら横はば23cmくらい、2〜3びきなら30〜37cmくらいが目安。ふたのあなが細かいものは、小さいハエが入りにくい。 | 気の強い種類は、たまごを産ませるとき以外は1ぴきずつ分ける。 |
| 成虫用マット(床材) | ケースの底にしく土。しめり気をたもって、かくれる場所になる。 | 深さ5〜10cmが目安。にぎって形が残り、水がしたたらないくらいにしめらせる。 | 幼虫を育てる土とは別のもの。おとなの虫用は、栄養よりも「しめり気」と「もぐりやすさ」でえらぶ。 |
| 昆虫ゼリー | おとなの虫の主なごはん。 | 売っている昆虫ゼリーで足りる。種類をえらぶことより、切らさないことのほうが大事。 | スイカのような水分の多いくだものは、おなかをこわしたり小さいハエがわいたりする。主なごはんにはしない。 |
| 餌皿 | ゼリーを固定して、土にうまらないようにする。 | ゼリーのカップがはまるくぼみのあるもの。つかまる木をかねた形だと使いやすい。 | — |
| 転倒防止材(樹皮・小枝) | ひっくり返った虫が起き上がるための足場。 | 木の皮や小枝など、つめが引っかかるもの。 | 起き上がれないまま弱ってしまう事故を減らせる。いちばん忘れられやすいもの。 |
| 産卵用マット(深敷き) | メスが土の中に直接たまごを産むための、深くしいた土。 | よく発酵した土を深さ10〜15cm入れ、下半分はかたくつめる。 | 浅いと産みにくくなる。木はいらないが、そのぶん土の量と質で決まる。 |
| 発酵マット(幼虫用) | 幼虫のごはんそのもの。 | きのこマット・完熟マットなど、幼虫用として売られているもの。 | 入れかえの目安は3ヶ月くらい。フンばかりになってからでは遅い。 |
| 温度計 | 虫を置く場所の、本当の温度を知る。 | 部屋ではなく、ケースを置くその場所に付ける。 | 部屋の温度と、日の当たるたなの上の温度はちがう。守れているかは、はかってみないと分からない。 |
ノコギリクワガタを迎える前に、おとなの虫を見守るだけか、たまごから次の世代も育てるかを決めましょう。秋におとなの虫がいなくなることは、寿命によることがあります。その後も土をすぐに捨てず、次の世代がいるかを確かめることが大切です。
おとなの虫、たまごと幼虫、さなぎでは、必要なお世話が変わります。表の「虫のようす」と「やること」を見くらべながら、そのときのノコギリクワガタに合った世話を続けてください。
出典
本文の数値と、月ごとの世話のしかたは、項目ごとに次の資料を参照しています。飼育データは出典によって幅があるため、本文では幅のまま示し、確認できなかった項目は「未確認」と記載しています(推測では埋めていません)。
| なにについて | しらべたこと | 見た資料 |
|---|---|---|
| ノコギリクワガタ | 大きさ(オス) | kids.yahoo.co.jp/zukan/pet/beetle/jstagbeetle |
| ノコギリクワガタ | おとなの虫でいる期間 | insect.body-design.org/nokogirikuwagata-siiku |
| ノコギリクワガタ | 冬をこせる? | www.bepal.net/archives/256270 |
| ノコギリクワガタ | おとなのちょうどよい温度 / 幼虫のちょうどよい温度 | www.choublog.site/nokogirisodatekata |
| ノコギリクワガタ | たまごを産む場所 / 幼虫のごはん / 幼虫でいる期間 / 育てやすさ | www.mushikichi.com/blog/nokogirikuwagata |
| ノコギリクワガタ | おとなのごはん | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| そろえるもの | 飼育ケース / 昆虫ゼリー / 餌皿 / 転倒防止材(樹皮・小枝) | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| そろえるもの | 成虫用マット(床材) | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kuwagata/imago |
| そろえるもの | 産卵用マット(深敷き) | www.dcm-hc.co.jp/howto/guide/g_pet/20200513152532.html |
| そろえるもの | 発酵マット(幼虫用) | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kabutomusi/kabuto-larva |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせない種類) | 1月:幼虫 / 2月:幼虫 / 3月:幼虫 / 4月:幼虫〜さなぎになる前 / 5月:さなぎ / 6月:さなぎ〜おとなの虫になるころ / 9月:おとなの虫の終わり/たまご〜小さい幼虫 / 10月:小さい幼虫 / 11月:大きくなってきた幼虫 / 12月:幼虫 | kuwakabu.tsukiyono.co.jp/manual/kabutomusi/kabuto-larva |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせない種類) | 7月:おとなの虫(ごはんを食べはじめる) / 8月:おとなの虫(いちばん元気な時期・たまごを産む) | www.komeri.com/contents/howto/html_new/04370 |
| 一年のお世話(おとなの虫が冬をこせない種類) | 8月:おとなの虫(いちばん元気な時期・たまごを産む) / 9月:おとなの虫の終わり/たまご〜小さい幼虫 | www.dcm-hc.co.jp/howto/guide/g_pet/20200513152532.html |


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